政所という土地
滋賀県東近江市の山間部、鈴鹿山脈の谷あいの集落が政所です。
古くは木地師の里としても有名は所で、奥永源寺という名称でも呼ばれます。
人々は、山とともに暮らし、木を育て暮らしに生かして豊かに生きてきた土地柄でもあります。
当事務所代表 高橋賢司の故郷でもあります。
自然に恵まれ、空気と水の美しいこの土地で幼少期を過ごしました。
現在は人口減少による限界集落となっておりますが、近年様々なプロジェクトで活性化を図っている場所です。
政所杉について
上述の土地政所は、自然豊かな山林地帯で、古くから林業が盛んでした。
政所では、合わせて茶の栽培が有名で、「政所茶」は室町時代から続く隠れた銘茶として「宇治は茶所、茶は政所」歌われるほどに知られています。
政所の自然の中で育った杉は、旧来から林業業者の手によりよく手入れされ、品質の良いことで重宝されました。
有名な吉野杉の産地である奈良の目利きの卸業者もこぞって買い付けに来たことでも、その品質は確かなものと言えるでしょう。
当事務所代表、私、高橋賢司の生家は古くより、林業に携わり材木の卸業も営んでおります。
現在では、兄の博己が家業を継承し、日々木とともに生きております。
私は、幼いころよりこの山の木と良さを祖父や父から聞かされ、実際にその木で建てられた家に住み、その木を触り育ってきました。
政所の杉の良さを、誰よりも知っている人間の一人だと自負しております。
建築家を目指し、一級建築士として独立開業してから、この山の木で家を建てたいという思いは常に心の中にありました。
人生の半ばを超える年齢になって、この想いは更に大きくなり、世の中の人に、もっと知ってもらい、この木の家に住んでもらいたいと心から思っています。
政所杉の特徴
・年輪の目が細かく美しい。
・最盛期は記念市で秋田杉と並べられていた。
・肌触りがあたたかく、香りも良い。
・急斜面の過酷な環境で育った杉は真直で強い。
以上のことから、政所杉が建築資材としても、高品質で扱いやすいものであるということが言えます。
滋賀県東近江市の山間部、鈴鹿山脈の谷あいの集落の政所で、林業を営む兄、高橋博己。
そして、その山の麓にある東近江市街地で、建築設計事務所を営む弟、高橋賢司。
ともに、林業を営む親のもとで育ち、幼き頃は山を走り回って育った兄弟。
今は、兄が木を育て切り出し、弟が家を創り建てています。
弟は兄の切り出す木の品質に、出来上がる家の景観と香りを想像し、兄は弟の創る家にふさわしい木を育てようと、日々山に入ります。
そんな、高橋兄弟の手で、日本の風土に合った木材を使い、古い知恵と最新の技術を併せ持った、かゆい所に手が届くような、住まいを創りたいという人たちがいます。
みなさん、その住みやすさ、温かさに満足の表情を見せてくれます。
そんな人々の、笑顔のために、兄弟は自分の持ち場で最善を尽くしているのです。